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銀座ファースト法律事務所の法律のお話:木村花さんに対する誹謗中傷と侮辱罪その1

フジテレビの「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花さん(当時22歳)をツイッターで中傷したとして、福井県に住む30歳代の男性を侮辱罪容疑で書類送検する方針を固めたそうです。SNSで木村さんを中傷した人物の立件は2人目ということです。

 捜査関係者によると、男は昨年4月上旬、木村さんのツイッターに「死ねやくそが」「きもい」などと4回にわたって書き込み、木村さんを公然と侮辱した疑いがあるということで、警視庁が任意で取り調べたところ、容疑を認めたということです。

 SNSでの中傷は、インターネットの動画配信サービスで昨年3月末、木村さんが試合で着用する衣装を誤って洗濯した共演男性に怒りをぶつけるシーンが先行配信された直後から相次ぎました。木村さんは、SNSでの中傷を苦にして、4日後に自宅で自殺したとみられています。

 その後、警視庁は、被害者の告訴を受けて、昨年3~5月に約200のアカウントから書き込まれた合計約300件が誹謗(ひぼう)中傷に当たると判断したもので、今回の立件に至ったものです。

 警視庁は、ツイッター社に照会するなどして投稿者の特定を進め、まず大阪府の20歳代の男性を昨年12月に侮辱容疑で書類送検し、さらに、メールアドレスなどから、福井県の男性を割り出しました。

 先に書類送検された大阪府の男性は先月30日、同罪で略式起訴され、科料9000円の略式命令を受けました。一方、遺族から人権侵害の申し立てを受けた放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は同30日、フジテレビ側に「出演者の健康状態に対する配慮に欠けていた点で放送倫理上の問題があった」とする見解を公表しております。

ところで、侮辱罪とはどういうものでしょうか?なぜ、被疑者は逮捕されなかったのでしょうか。検察官は、書込み後いつまでに起訴しなければならないのでしょうか(公訴時効)。

これには、被害者の告訴が必要でしょうか(親告罪)など、いろいろな疑問があります。

これらの疑問には、次回「その2」で答えることにしましょう。

 銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清


# by lawyer-tkg | 2021-04-07 16:11

銀座ファースト法律事務所の法律のお話:賃借人の孤独死

今回は、賃借人の孤独死(自然死又は自殺)の法律相談についてお話します。

ある賃貸物件について、高齢の入居者の方が孤独死(自然死)をして、1週間後に管理会社により発見され、その賃貸物件の管理会社が、死亡した高齢者の相続人に対し、貸室の全面改装費200万円を請求したという事案がありました。

確かに、賃貸人は、その後の後始末や貸室の賃料額の下落で、大きな損害を被ることは予想されます。
しかしながら、賃借人は、自然死亡したのですから、不法行為に該当することはありません。それでは、債務不履行責任はどうなるでしょうか。生きていらっしゃった日数に応じて、賃料債務を支払う必要はあると思いますが、それ以降の債務不履行責任を問うことは、困難でしょう。

それでは、このとき、賃貸借契約において連帯保証人が居た場合はどうでしょうか。
賃借人に債務がある限り、連帯保証人はその債務を負担する必要があります。しかしながら、2020年4月に民法改正がなされておりますので、民法改正日以降に締結された賃貸借契約のときは、注意が必要です。連帯保証に極度額を定めないと、連帯保証契約そのものが無効となってしまうこともあるからです。

次に、入居者が自殺した場合はどうでしょうか。自殺は、故意による死亡の結果を招来したのですから、不法行為責任が成立する可能性があります。これが成立すると、貸室の全面改装費、その後の後始末費や貸室の賃料額の下落分の一部を負担しなければならない事態もあるでしょう。そして、この場合、債務不履行責任も成立する可能性があります。

この場合、連帯保証人に請求する道があるでしょうか。これも上記と同じように、民法改正日以降に締結された賃貸借契約のときは、注意が必要です。連帯保証に極度額を定めないと、連帯保証契約そのものが無効となってしまうこともあるからです。
極度額とは、連帯保証人が負わなければならない、金額の限度額を言います。これが100万円なら、100万円の限度でしか責任を負わないという契約を言います。

民法改正と連帯保証人の責任については、別の機会に述べることにしましょう。

銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清

# by lawyer-tkg | 2021-03-28 21:23

堀越高等学校の男女交際禁止校則について

堀越高等学校では、「男女交際禁止」の校則があり、入学のときに、この校則があることは生徒及び保護者に告知されていたそうです。

元女子生徒は、3年生の2学期ころ、在学時に男子生徒と交際していたことを教諭から問い詰められ、自主退学を勧告され、退学に至ったそうです。
元女子生徒は、高校1年のときに、男女交際を始め、2年生のときに一度注意を受けたそうですが、その後も交際を続け、高校3年の2学期の終わりころ教諭に呼び出されて、4時間にわたり、男女交際の有無、キスの有無、性交渉の有無などについて追及を受け、さらにスマホを見せるように求められたということでした。
元女子生徒は、男女交際の有無については認めたものの、それ以上の事柄については、プライバシーの侵害であるとして拒否したそうです。
しかし、スマホを見せることは断り切れず、男子生徒と一緒に写っている写真があるスマホの画面を見せざるを得なかったそうです。元女子生徒は、既に大学にも推薦入学が決まっていたそうですが、教諭からの自主退学を執拗に迫られ、退学を余儀なくされたとして、裁判所に対し、慰謝料などを求めて提訴したということです。

 私立学校という限られた団体の校則については、団体の自己規律という意味での規律の自由はあり、裁量が認められていることは、確かです。
しかし、裁量の範囲を逸脱した規律は無効であるとの評価ができると思います。また、特に男女交際という憲法24条等で保障されているような規律は、それが真面目な交際であれば、民法90条(公序良俗)に違反する規律であるとして無効だともいえるのではないかと思います。

とにかく、真面目な男女交際であることを前提とすれば、4時間にもわたり執拗に追及され、自主退学を求めることはやりすぎではないでしょうか。元女子生徒は、既に大学にも推薦入学が決まっていたとのことなので、尚更です。

 法律的には、校則の裁量権逸脱、民法90条(公序良俗)に違反で無効とすることもできますが、校則の無効性に触れないで、4時間にも及ぶ退学勧奨が違法であり、民法709条(不法行為)に基づき損害賠償を求めることができると判断すると思います。


銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清


# by lawyer-tkg | 2021-02-09 22:44

女子高校生・男児出産殺害事件

先月18日の午後、栃木県内のショッピングモールに友人と買い物に来ていた県内に住む17歳の女子高校生が、トイレで男の赤ちゃんを出産し、すぐに殺害しました。その後、女子高生は、殺人の罪で、逮捕されました。

本当に痛ましく、やりきれない事件ですね。女子高生は、一生重い罪を背負って生きていくことでしょう。しかし、相手の男はどうしたのでしょう。同じ罪を背負って生きるべきですが、とても女子高生の気持ちは分からないでしょう。

こんなとき、周りの人が、お腹が大きくなったことに気付かなかったのでしょうか。

本人は、きっと知っていたはずです。お母さんに相談するか、それができなければ、誰かに匿名で相談してほしかったと思います。このような相談窓口は一杯あります。もちろん匿名で結構です。

そうすれば、女子高生も、産み落とされた男の子の命も助かったのです。

今や、特別養子縁組制度もあります。特別養子縁組は、実父母(生みの親)の名前を隠して、養親が両親となり、その子の実の両親として、育て上げる制度です。

すなわち、特別養子縁組制度は、子どもに恵まれなかった夫婦が、経済的理由や養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度です。

ほかにも、お母さんや信頼できる大人や先生に相談していれば、いろいろな解決方法があったはずです。

この事件に関する投稿で「だから少年法は廃止すべきなんだ」という投稿がありましたが、とんでもない意見だと思います。この事件こそ、少年法による処分が生かされる事件です。

産み落とした子供を殺害した事件は、家庭裁判所で少年事件として処分されますが、通常、検察官送致にされて、成人事件と同じように刑事事件として処罰されることはないと思います。少年鑑別所で精神鑑別はされるでしょうが、最終的には保護観察処分になるでしょう。

そうすれば、前科にもなりませんし、少年が立ち直るにも適した制度です(ちなみに、少年院送致処分でも、前科にはなりません。)。

女子生徒は、一生忘れ得ない事件であると思いますが、生後間もなく生命を絶った我が子のためにも、これからの人生を意義あるものにしてほしいと思います。

銀座ファースト法律事務所 弁護士 田 中   清


# by lawyer-tkg | 2021-01-30 15:43

公訴時効について

刑事犯罪の公訴時効は、刑事訴訟法250条に定められています。

「公訴時効」とは、犯罪が行われたとしても、法律の定める期間が経過すれば、その犯人を処罰することができなくなるというものです。


2010年以降、殺人罪の公訴時効は25年と定められていましたので、犯罪から25年が経過すると、もはやその罪を処罰することはできなくなるとされていたわけです(後述のとおり、2004年までは、殺人罪の公訴時効は、15年と定められていました。)。

 こうした公訴時効が定められているのは、長い時間の経過により証拠等が散逸するとか、長期にわたって起訴されないという事実状態が続いたことを尊重するとか、国家の負担軽減とか、いくつかの理由が示されています。


しかし、殺人事件などの遺族などから、「家族が殺されたのに、時効で犯人が処罰されなくなるのは納得できない。公訴時効を見直してもらいたい。」という声が高まったことや、DNA検査や科学捜査の進展、世論の変化などを背景に、公訴時効の見直しが決められました。


時の経過とともに証拠物(凶器、写真などの物的証拠)が散逸することや、または経年劣化による腐敗で長期間の保存と事実認定が困難になることもあります。

アリバイなどの「無実の証拠」も時間の経過とともになくなることも考えられます。目撃証言も、時間の経過で急速に記憶力が衰え、不確実な記憶が残ってしまうという弊害もあります。

こうしたいろいろな理由で、2004年までは殺人の公訴時効は15年でした。


私の記憶にはっきり残っているのはF・K子事件です。彼女は、約15年前に殺人事件を犯し、公訴時効完成の3週間前に逮捕され、新聞で騒がれました(まだ殺人の公訴時効が15年だったころ、確か1997年ころだったと思います。)。


こんな事件が実際にあるのですね。

現在の刑事訴訟法は、2010年に改正され、人を死亡させた犯罪(殺人、強盗致死、強盗強制性交致死)については公訴時効の適用はありません(つまり、いつまで経っても公訴時効で犯罪が処罰されないことはないのです。)。


参考までに、無期の懲役又は禁錮に当たる罪については、公訴時効は30年、長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については、公訴時効は20年とされています。


弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清


# by lawyer-tkg | 2021-01-18 22:45

銀座ファースト法律事務所の弁護士(弁護士田中清、弁護士若林諒、弁護士青木丈介、弁護士土屋賢司、弁護士小谷健太郎)が日々の業務を通じての雑感や法律トピックス等について、自由気ままに綴っていきます。


by 銀座ファースト法律事務所