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東名高速あおり運転事故差戻し審判決 その1

 東名高速で一家4人が死傷した、いわゆるあおり運転事故の差し戻し裁判で、2022年6月6日、再び被告人に懲役18年の判決が言い渡されたことが分かりました。被告人は、判決を不服として即日控訴したそうです。


 被告人は、2017年に東名高速でHさん一家が乗るワゴン車にあおり運転をして高速道路上停車させ、後続してきたトラックによる追突事故を招き、夫婦2人を死亡させ、娘さん2名に傷害を負わせた罪(危険運転致死傷罪)などに問われました。いわば、娘さん2人は、一瞬のうちに両親を失ったもので、 4年前の1審判決は、今回と同じ懲役18年の刑でした。差し戻しを命じた東京高裁は、「1審の裁判過程に違法な手続きがあった」として、審理を差し戻していました。


 横浜地裁の裁判官は、公判前整理手続で、検察官・弁護人に対し「危険運転致死傷罪は成立しない」とする暫定的な見解を示していたにもかかわらず、公判でその見解を翻して同罪の成立を認めた点について、東京高裁は、「1審の裁判過程に違法な手続きがあった」と判断したものです。


 すなわち、「弁護人は横浜地裁側の公判準備手続における裁判官の事前見解を前提に弁護活動に臨んだため、十分な主張・反論の機会を与えられないまま不意討ちで危険運転致死傷罪を認定される結果となった」ものであり、「同罪の成否は、裁判員も含め合議で判断すべきで、裁判所が事前に見解を表明することは裁判員法に違反する越権行為だ」と指摘した上で、「改めて裁判員裁判をやり直すべきだ」と結論付けたものです。


 当事者には、判決が遅れるという迷惑をおかけしましたが、この点の東京高裁の判断は正当な判断といわざるを得ません。

 次回は、その余の点について記載することにします。


弁護士法人銀座ファースト法律事務所


弁護士 田中 清


by lawyer-tkg | 2022-06-08 21:00

銀座ファースト法律事務所の弁護士(弁護士田中清、弁護士若林諒、弁護士青木丈介、弁護士土屋賢司、弁護士小谷健太郎)が日々の業務を通じての雑感や法律トピックス等について、自由気ままに綴っていきます。


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