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高畑裕太さんの強姦致傷事件について その5

高畑裕太さんの強姦致傷事件について その4で、「弁護人からのFAXで、「高畑裕太さんは無罪の可能性が高く、仮に起訴されたとすれば無罪を主張して争ったでしょう。」と書かれていました。これは不起訴になった後ですから言えたことでしょうが、要するに「被害者の同意があったから無罪である」と主張しているのです。被害者のAさんは、このFAXを見てどう思われたでしょうか。」と書きました。
 そして、最近の週刊現代に2週連続で、被害者のAさんの告白記事が掲載されておりました。
 そのAさんの告白には、①無理やり強姦されたことに間違いがないこと、②高畑さんに怖い目つきで睨まれて反抗することができなかったこと、③知人に相談したことは事実だが、ずっと昔、暴力団に入っていたようだが。今は暴力団員から足を洗っていること、④次の日に警察に届け出たが、女性警察官に促されて、群馬大附属病院の産婦人科を受診し、アフターピルを処方された上、膣内に残っていた精液を採取されたことを語っていました。
 ⑤さらに、5時間に及ぶ検事の取り調べを受け、「なぜ大声を出さなかったのか」「なぜ壁を叩かなかったのか」などと鋭い質問があり、法廷でもこのような質問がなされるであろうことを告げられ、精神的に持たないと考えた、⑥Aさんの代理人弁護士と高畑さんの代理人弁護士との間で示談交渉が進められ、その場にAさんの知人が立ち会うことはなかったことを述べていました。

 これを読んで、私は、次のような感想を持ちました。
 1つは、その4でも述べましたが、高畑さんの弁護人は、FAXで、「高畑裕太さんは無罪の可能性が高く、仮に起訴されたとすれば無罪を主張して争ったでしょう。」と一般に公開しましたが、それは書くべきではなかったでしょう。被害者には被害者の言い分があり、上記のFAXを流すことによって、被害者が怒りを覚えることや精神的に傷つくことが避けられないからです。弁護人が高畑さんの事情聴取によって無罪の確信を持たれたのかもしれませんが、被害者の言い分を十分検討することなしに、あのFAXを送ることは軽率であったのではないかと私は思います。また、このFAXを送ることによって、被害者側の反撃を許し、結果的に高畑さんも傷つくことになることが予想されるからです。
 さらに⑤の検事の取り調べですが、週刊現代には若い男性検事と若い女性検事だったということですが、「なぜ大声を出さなかったのか」「なぜ壁を叩かなかったのか」という鋭い質問をされたそうです。このような質問をすることは、法廷で予想される反対尋問のためには必要なことかもしれませんが、これを検事が本気で思っているとすれば、社会経験が足りないといわざるを得ません。
 人間は、怖い思いをしたときに、むしろ、声が出ないことが多いことも勉強すべきでしょう。例えば暴力団員に囲まれてスゴまれたとき、一体何割の人が大声を出して助けを呼ぶでしょうか。強姦被害のときでも、高畑さんは背が高く頑丈な人で力も強かったということですから、声を出してその後何をされるかと思うと、声が出ないこともあると私は思います。
 とにかく、示談が成立したことは、高畑さんの弁護人の大手柄ですが、あのFAXを流したことは、大いに疑問といわざるを得ません。
 
 なお、このブログの文章は、公式ブログとはいいながら、私個人の意見でありますので、ご了承のほどお願い申し上げます。


弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清
by lawyer-tkg | 2016-10-30 17:59

銀座ファースト法律事務所の弁護士(弁護士田中清、弁護士若林諒、弁護士青木丈介、弁護士土屋賢司、弁護士小谷健太郎)が日々の業務を通じての雑感や法律トピックス等について、自由気ままに綴っていきます。


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