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中坊先生を悼む その2

 中坊先生が亡くなられたのが5月3日憲法記念日です。いかにも弁護士中坊公平先生を彷彿とさせる日ではありませんか。
 さて、中坊先生が扱われた代表的なお仕事の続きを挙げてみたいと思います。
 私の知る限り、3番目の大きな仕事は、豊田商事の破産管財人の仕事です。オウム真理教の破産管財人と並ぶ大きな仕事と言っていいでしょう。中坊先生は、大阪地方裁判所の隣のビルの1室を豊田商事の破産管財人業務のために賃借され、事務員を雇って業務を遂行されていました。破産管財人の仕事を補佐する常置代理人の弁護士も10人近くいたのではないかと思います。
 中でも中坊先生しかできないと思った仕事は、豊田商事社員の給与支給の際の源泉所得税を国税局、国税庁と掛け合って取り戻したことです。犯罪にもなる違法なことをして高額の給与をもらっていた豊田商事の社員から差し引いた源泉税は、国の手許に残すことは許されないというのです。相手方は、公務員の典型で、お役所の中のお役所の国税庁です。その国税庁が、一旦国庫に入れた税金を返すということは100%あり得ないと考えるのが、ほとんどの人が考えるでしょう。しかし、中坊先生は、何十回も国税庁を訪問し、遂に源泉税を取り戻したのです。
 豊田商事事件の回収については、その他にも回収妨害など、いろいろな困難があったと聞いております。しかし、中坊先生は、これらと闘いつつ、100億円にも及ぶ破産財団を形成されたのです。 しかし、債権者集会で、中坊先生は涙を流しながら、債権者に対し、「これだけしか集められなかった。申し訳ない」と頭を下げられたのです。弁護士ならこの100億円という破産財団がどれほど巨大な回収かということは誰でも知っています。おそらく、中坊先生でなかったら、これほどまでに集めることはできなかったでしょう。
 この破産管財人報酬は、正規に請求すれば10億円くらいになると思います。しかし、先生は自分の報酬は要らないから、債権者の皆様方の配当に回してほしいとおっしゃったのです。
 私は、これも中坊先生らしいと思いました。
 (続く)
 弁護士 田中 清(銀座ファースト法律事務所)
by lawyer-tkg | 2013-05-12 09:32

銀座ファースト法律事務所の弁護士(弁護士田中清、弁護士若林諒、弁護士青木丈介、弁護士土屋賢司、弁護士小谷健太郎)が日々の業務を通じての雑感や法律トピックス等について、自由気ままに綴っていきます。


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